研究活動・親睦

各地の声・各地のイベント

各地のイベントから(会報181号から)

各地のイベントから(会報181号から)

 横浜詩人会現代詩研究会報告
             相原京子
 横浜詩人会では昨年度に引き続き二度にわたり「現代詩研究会」を開催した。「詩を学びたい。詩がうまくなりたい。」という会員の要望に応えてのことである。
 講師  横浜詩人会会員 詩人  
 日本語教育学博士 徳弘康代さん
 第一回現代詩研究会 九月二八日
 (出席者二十名)
「メタファーを意識して詩を書いてみる」をテーマにワークショップ形式ですすめられた。まず各自で「短い詩を書いてみる」という活動を通して「メタファーとはどのようなものか」の理解につなげた。さらに各自の詩を見比べ、私たちはメタファーを使っての表現を多く取り入れていることに気がついた。メタファーの特性として、抽象的な概念を表現しやすいことも理解できた。この表現方法も万全ではないことを示す例が表示され、表現することの責任を改めて感じた。そのあと、希望者(六名)の詩作品の合評会が行われた。講師を中心に熱心なやり取りがなされた。
 第二回現代詩研究会 十一月十六日
「日本語を外から見ながら詩をかいてみる」(出席者一七名)
をテーマにワークショップ形式ですすめられた。日本語と他言語とを比較し、日本語の特性を知る。助詞、助動詞、副詞を使い分けることにより、より細やかな表現ができることを確認した。日本語は、語彙と表記が豊かなことも知った。各自「容器から五行詩を作ってみる」の活動を通して、メタファーとアフォーダンスの概念の理解を進めていった。そのあと、希望者(三名)の詩作品の合評会が行われた。講師を中心に充実した話し合いがなされた。
 詩は言葉で表現する芸術である。今回は「日本語の本質とその表現力の可能性」についての理解を深めた。この学びを糧に、より表現力豊かな詩作品をつくっていくことを、皆で確認した。

講師の徳弘康代氏


 中四国詩人会岡山大会
     岡山大会事務局 中尾一郎

 中四国詩人会は、岡隆夫氏の尽力で2000年に発足した。あれから25年。60歳の者は当然85歳となり高齢化の組織となっている。けれど、中四国詩人賞や中四国詩集、各地域で開催される大会を何とか続けて詩の裾野を拡げようとしている。
 昨年の高知大会からバトンを受け取り、令和7年10月4日に岡山市内の岡山国際交流センターで47名の参加者で開催。広島県の北村均氏の会長承認、川辺真事務局長からの報告審議事項などの総会を行う。議長は、岡山県の柏原康弘氏。
 そして、いよいよ岡山大会。開会の言葉は、瀬崎祐氏。「坂道は上りきらない方が面白い」という話が面白い。続いて、第25回中四国詩人賞の表彰式。選考経過報告を小野田潮選考委員長が行う。今年は、奨励賞に、小島章生詩集『プディングの恋』、特別賞に中桐美和子詩集『九十代』が選ばれた。受賞者の挨拶と朗読があり、大きな拍手に会場が包まれた。
 記念講演は、斎藤恵子氏。演題は「有本芳水と詩友たち」。概略は次の通り。
 有本芳水は兵庫県に生まれたが、父が亡くなり、岡山の叔母の家で育った。私立関西中学在学中から詩作に励んだ。早稲田大学卒業後実業之日本社入社し、少年詩を書いて『芳水詩集』を出版。竹久夢二と親交が深く、夢二の詩集の装画を手掛けたほか、夢二の生誕の地・岡山の詩碑に自身の詩を刻んでいる。大衆性があり、文語体でありながら、わかりやすく少年たちの心に訴え、89歳で亡くなった。
 そして、有本芳水とのかかわりで児玉花外(本名:伝八)・伊良子清白へと話が広がった。清白は医師として各地を転々としながら、往診途上、脳溢血で死去したとのこと。
 アトラクションのギターの弾き語りの後、自作詩の朗読に移る。國友 積(高知)橘しのぶ(広島)高橋克知(広島)川辺真(島根)八木真央(山口)妹尾礼子(岡山)河邉由紀恵(岡山)の各氏がそれぞれの詩の世界を言葉に載せて参加者に届けた。

講演する斎藤恵子氏


 岩手芸術祭 文芸祭を終えて
  岩手県詩人クラブ事務局長 松﨑みき子
 岩手県詩人クラブ主催による「岩手詩祭2025」が去る十月二十五日花巻なはんプラザ、大会議室にて開催された。
 第二部で詩人クラブ会長、照井良平が二十名を前にして「私の詩作法」と題しミニ講演を行いました。
 副題に「詩作で気をつけていること」がありここは詩を書くものであれば是非参考したい内容でした。書きたいことを【1】起承転結で、あるいは感性で書く【2】書きたいこと一つを書く【3】日常を書くと記録的な言葉、行分け、連分けになってしまうから、説明と思われるところを切り捨てる。
【4】ここが書きたいところ言いたいところだ、と思うところは形容詞はなるだけ使わない。【5】漢字ひらがな・カタカナ等いずれが適当か表記を考える【6】連の構成【7】朗読によってリズム感を確認する【8】連、行の入れ替えなどで推敲する。
 最後に【9】【3】~【8】の推敲を重ねる【10】推敲で浮かんだ言葉はその時の作品で使わなくても、後日の作品で使う場合が多くある。尚、【】内は更に細かい説明があり、如何に神経を使い詩を書いているかが伺えました。一篇を書きあげても更に寝かせて推敲する場合もあると話していました。これを聞いていた参加者は頷くように、まじまじと手元に渡されたレジメを見つめていました。
 照井会長の丁寧な詩作法は聞き手に対しての真摯な態度だと思わせてくれる学ぶべき事を的確に教えられた講演でした。そしてこの秋、アンソロジー詩集「いわての詩2025」が刊行し、嬉しい限りでした。詩文芸で岩手らしさを大いにアピール出来たら素敵なことだと思います。文芸祭を終え事務局としては感謝の気持ちと安堵でいっぱいでした。

講演する照井良平氏


千葉県詩人クラブ
 創立六十周年記念ちば秋の詩祭 
  理事長 村上 久江
 二〇二五年十一月二日(日)午後一時、千葉・県民文化祭―文化でつなぐ千葉のちから 創立六十周年記念「第46回ちば秋の詩祭」(主催 千葉県・千葉県詩人クラブ 後援 船橋市・日本現代詩人会・(一社)日本詩人クラブ)が開催された。
 会場は船橋市東部公民館。
 第一部は午後一時村上理事長の開会の挨拶で始まった。まず秋元会長から今年度は当クラブ創立六十周年の年にあたり他県等の詩人団体の会長さん、理事長さんにお出でいただきました。プログラムには盛り沢山の内容を用意しておりますので、今日の秋の詩祭をお楽しみくださいと挨拶をした。
 次に千葉県文化振興課企画調整班長の中澤里子氏より秋の詩祭開催の祝辞をいただいた。
 中谷順子顧問からは創立六十周年の年ということで、当詩人クラブの成り立ちが話された。さらに活躍をとの挨拶をいただいた。
 続く詩の朗読の司会は松田悦子専門委員。植松礼子氏、鈴木恵氏の感情を込めた朗読に聞き入った。
 次の県内の詩の合評活動報告の司会は秋元会長。覇気の会、千葉市詩話会、無名の会、安房詩人会、外房いすみ詩人会、詩誌「Noix」の六団体の代表がそれぞれの会の成立や活動の概要を丁寧に熱く語った。
 第二部のパフォーマンスは、会員の末原正彦氏脚本「詩劇 三好達治と黎明の詩人たち」 出演は片岡伸、秋元炯、桜木利春、池田久雄、平林健次、降旗りの、村上久江、植松礼子、斉藤光利、山中真知子の各氏。それぞれの役を生き生きと演じた。詩劇中の詩も配布された。
 第三部は講演、日本現代詩人会前会長の郷原宏氏による「口語自由詩のこれまで、これから」。講師紹介は根本理事。配布されたレジュメは「口語自由詩の歴史」。定型からはずされた口語自由詩、自由だからこその難しさがあるのではとあらためて感じた。
 詩画詩書、文芸誌等の展示もされた。
 村上理事長が閉会の挨拶。参加47名。

講演する郷原宏氏


「いばらき詩祭2025レポート」
             生駒正朗
 「いばらき詩祭」は、毎年茨城県内の各市町村を巡回しながら開催していますが、今年は茨城県詩人協会の創立二十周年にあたりますので、県都たる水戸に戻り、記念詩祭を開催しました。
 開催は十一月九日(日)。水戸三の丸ホテルを会場とし、岡部千草さん、福田恒昭さんの司会で始まりました。高山利三郎会長の挨拶の後、日本現代詩人会理事長の広瀬大志氏から来賓代表挨拶を頂きました。
 内容は記念式典に相応しく盛りだくさんで、まずは、茨城県詩人協会前会長の硲杏子さんが「新川和江を偲ぶ」と題し、当協会名誉会員であった新川和江さんの思い出を語りました。
 続いて、詩人協会設立当時初代理事長として奔走され、その後も当会運営にお力を尽くされた武子和幸氏がインタビュー形式で、設立当初の苦労話をお話し下さいました。初代会長の鈴木満さんなど、当時ご苦労なさった方々も何人かお亡くなりになっていて、いま武子さんが語っておかないとという貴重なお話ばかり。ここでも新川和江さんがお力添えをして下さったエピソードがあり、新川さんがいかに故郷茨城を大事にしていたか思い知りました。聞き役は前理事長の塚本敏雄氏が務めました。
 最後に、日本現代詩人会前会長の郷原宏氏が「現代詩論史論〜戦後詩を中心に」というタイトルのもと、現在「詩と思想」に連載している、日本の詩論の流れを追うお話を頂きました。萩原朔太郎の「詩の原理」を源流として、吉本隆明を経て、現在の野沢啓氏の論考に至る流れを解説して下さいました。難しい内容にも関わらず、とてもわかりやすくお話し下さり、参加者からは絶賛の声ばかり。(これはお世辞ではありません。)本当に勉強になりました。
 参加者は五十名を越え、会場の部屋に椅子を足したほどで、二十周年記念詩祭に相応しい、熱気あふれる雰囲気となりました。
 詩祭終了後は同会場にて懇親会も開かれ、和やかな雰囲気で参加者の語らいの時間を持ちました。

講演する郷原宏氏


 宮崎県詩の会
  「第55回九州詩人祭宮崎大会」の熱気を。
    宮崎県詩の会会長  谷元益男
 九州各県が持ち回りで開催する「第55回九州詩人祭宮崎大会」が、去る令和七年十一月十五日(土)に、宮崎市内の「ホテルニューウェルシティ宮崎」で盛会に開催された。九州各県のみならず、遠くは新潟県、埼玉県及び関東からも駆けつけていただき、総勢八十四名と会場は熱気に包まれた。
 第一部は『詩の比喩・アナロジー・映像』と題して、本多寿氏の講演があり共時的な感性や「比喩」を駆使することについて洞察力のある内容で、参加者はペンを走らせ聴き入っていた。
 第二部は『~なぜ現代詩か?~「風土×身体×時差」』のテーマで、パネルディスカッションが詩作にも旺盛な大学生を含め、ジャンルの違う視点から詩を語り斬新さで好評を得た。もちろん詩人の立場で語る宮崎県詩の会の会員も参加して場が盛り上がった。トークに入る前に「宮崎にゆかりのある詩人」の詩の朗読があり、会場は水を打ったように静まり、朗読が引き込む力を味わった。この朗読が大変好評で、途中からピアノの演奏も加わり朗読は会場の隅々にまで染み渡ったように思われる。パネルディスカッションの内容は、各世代間の違いを浮き彫りにしつつ「詩」がどのように関わるのか、あるいは他の要因として何につながるかについて、そのプロセスを解きあかすべく盛んに話が飛び交った。もう少しこの部分に時間を配分すべきだったとの反省点もあった。近年、特に詩に興味がある若い書き手、人材の発掘が望まれる。その意味で今回の登壇者は、九州内の詩界に影響するものと期待している。
 第三部は「各県の詩の現状」を報告したが、各県とも高齢化と多様なメディアの台頭により、詩への関心が希薄になっているとの懸念が語られた。この現状をどのように打開するか。「詩」は想像の極みである。AIには想像は無理だ。従って、この強みと継続性を持つべきである。
 この熱気が冷めないうちに南の端から次のステップを踏み出して発信していきたい。本大会の開催にあたり関係者並びに御支援を賜った皆様に、この場をお借りして心よりお礼を申し上げます。

パネルディスカッションの一場面


群馬詩人クラブ
 「第38回秋の詩祭」開催報告
            伊藤信一
2025年11月22日(土)、前橋市の前橋商工会議所会館にて、群馬詩人クラブ総会と「第38回秋の詩祭」が開催された。
 「秋の詩祭」では、日本現代詩人会会員で群馬県高崎市在住の國峰照子氏による、「わたしたちはなぜ詩を書くのか」と題された講演が行われた。
 國峰氏の講演は、参加していた群馬詩人クラブ会員に、直接「なぜ詩を書くのか」を問いかけることから幕を開けた。数人とのやりとりによって、それぞれの詩を書く契機や動機、理由といったものが立ち上がり、開始早々話は佳境に入った感があった。
 続いて、資料として会場で配布された、粕谷栄市「水仙」、石原吉郎「位置」、小海永二訳アンリ・ミショー「謎」の三作品について、これらをどう読むか、氏は再び聴衆に問いかけた。
 最初は静かだった客席も次第に盛り上がり、自ら手を上げて自身の読みを積極的に発表する参加者が続き、会場は通常の講演会とは異なる熱気に包まれていく。國峰氏がそれぞれの発言にコメントをつける形で会は進行していった。
 國峰氏は、粕谷栄市氏との出会いや、詩人同士の交流の際のエピソードを語り、現代詩の一つの極北として粕谷氏の散文詩を評価し、また詩人の振舞い方という点で尊敬していると語った。
 石原作品について國峰氏は、詩の中の「位置」ということばを、詩を書く人それぞれの位置、自分の態度の決め方ととらえて、石原氏のシベリヤ抑留体験とからめて作品を論じた。
 特にミショー作品に対しては会場から様々な意見が出された。カフカ、ベケット、井伏鱒二の文学、また、キリスト教との、関連や類似が語られ、詩と小説との違いなども話題となった。
 議論が集中した最終連について、國峰氏は、「三本目の脚」が「逃げ去ってしまった」という詩句に対して、自分が書いた詩がいいかどうかわからないが、その詩を書いたので次の詩が出てくる、四本目の脚が出てくる前に逃げ出してしまった、走り回る「ねずみ」をつくるのには精力がいる、この次はどうしても四本目の足をさがさなくては、というふうに読んだと語った。
 さらに会場の求めに応じて、朗読についての考え方などが語られ、講演は締めくくられた。大きな拍手とともに「秋の詩祭」は幕を閉じた。

講演する國峰照子氏


 講演会報告 
  第36回長野県詩人祭
期 日 令和七年十一月三十日(日)
       午後一時四十分
会 場 松本市あがたの森文化会館
講 師 日本現代詩人会会員
    金田久璋氏
演 題「詩人岡崎純と現代詩の先端」
一 岡崎純の詩を読む―第4回蝸牛忌の朗読作品から
 今年七月五日に岡崎純を偲び、開催された「第四回蝸牛忌」に参加の十六名が各自選び朗読した岡崎詩を紹介し、詩人の詩、生き方に触れた。二〇一七年八七歳で物故した岡崎が蝸牛好きだったことから「蝸牛忌」としたこと等を含め、氏の朗読と語りは、岡崎作品の魅力を充分に伝え、感銘を深めた。
二 岡崎純の詩歴とその詩論
―金田久璋著『瞬間の王と現実の王』参照
①『土星』の詩人・杉本直と『時間』のネオリアリズム
②寓喩と「小さな抒情的叙事詩」
③「対比を超える」ということ
 岡崎純が学生の頃に師事した『時間』の同人杉本直(詩集『土星』を出版)のネオリアリズムによる感化と影響について話を進め、「特異なリアリティーの表出」がみられること、最後の詩集『寂光』(第30回日本詩人クラブ賞受賞)に収めた詩「逆水」に関し、金田氏が『詩と思想』に書いた解説文を紹介。岡崎純が終生、大切にした「言葉の単純化」や、禅の教えに基づく「対比を越える」のオンリーワンの精神を重視。中野重治のエッセー「素朴であること」に準拠した岡崎の詩は、珠玉の詩だったと思う。安易なオノマトペに寄りかからず、比喩に立脚し、形而上的な視点にたち、哲学的世界を表現。岡崎純の詩は「多声的」であり、庶民、常民の声を詩にしていて、村の習俗について寓喩を援用し「小さな抒情的叙事詩」として表現した云々。説得力のある言葉が強く印象に残っている。
三 現代詩の先端としての青年、高校生の作品と傾向
 詩のコンクール受賞作品から高校生の詩を二編紹介。しめくくりとして金田氏の近作六篇を朗読し、本講演会を終えた。
 講師の金田久璋氏は周知の通り、民俗学者の谷川健一を師として学び、現在、「日本地名研究所」(川崎市)所長を務める。福井県が生んだ著名な詩人岡崎純と日常的に深く関わった中で、交流の実績(資料)に基づく具体的で分かりやすい講演内容だったことを申し添えたい。
 (長野県詩人協会会長 酒井力記)

講演する金田久璋氏

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